日本公衆衛生学会へようこそ

日本公衆衛生学会 第20期理事長就任に際し、ご挨拶をさせていただきます。
日本公衆衛生学会は、1951年の発足から75年目を迎えます。2025年7月1日現在、普通会員9,967名、学生会員150名、協力会員253名となり、年内で普通会員数は100名前後の変動がありますが、その会員数は、わが国の社会医学系分野での最大と言えます。
本学会のミッションは、わが国の公衆衛生の向上・増進に寄与する科学的エビデンスの創出と、それに基づく公衆衛生活動の実践・評価と政策への提言、そして、それらを通じた人材育成です。
本学会は20以上の委員会を設置し、これまで、1)公衆衛生人材育成の強化と会員の拡大、2)関連学会・団体との連携・協働の強化、3)公衆衛生研究の促進、4)政策への提言・要望、5)国際化対応、そして6)ダイバーシティ・イークイレティ・インクルージョン)(DEI)の充実を進めて参りました。
新型インエンザ感染症のパンデミックから5年が経た現在、会員の皆様が献身的な実践活動や学術研究で大きな貢献をされた結果、「公衆衛生」が人口に膾炙しました。今後とも、国民の公衆衛生への期待に応えるべく本学会の使命は益々大きくなると言えます。その際、感染症や健康危機管理のみならず、少子超高齢社会、グローバル社会における様々な健康問題(生活習慣病、がん、老年病等)、大規模災害等による短期・中長期的な健康問題、たばこ、アルコール、薬物による健康障害、高齢者や児童の虐待問題、自殺等の精神保健問題、社会のサポート機能の低下、及びこれらの諸課題に対する保健・医療・福祉分野の対策・制度に関する諸課題の対処を強化して参ります。
わが国は、世界一の少子超高齢化を反映し、他の国では経験のない様々な健康問題に対峙しています。それゆえ、高齢化が急速に進むアジア・アフリカ諸国等での問題をいわば先取りをしており、その対応には諸外国から大きな注目が注がれています。その意味においても、本学会活動の国際展開は重要なミッションです。国際化対応に関しては、学会総会での国際参加賞・英語での発表・シンポジウムの開催等を進め、毎年10名程度の海外若手研究者の招待をしてきましたが、今後更なる国際化を進めるため、特にアジア地域での国際学会との連携、交流に進める所存です。
国内においては、これまで培った学術団体等とのネットワークを生かし、社会医学系専門医協会(8学会・6団体及び3友好学会)、全国衛生公衆衛生学教育協議会、全国公衆衛生関連学協会連絡協議会〈30学会〉、臨床医学系学会、国際保健医療に関する学会、日本学術会議。そして、2025年4月から始動した国立健康危機管理研究機構と連携して、会員のさらなる増加を目指すと共に、学会総会時等での認定研修(公衆衛生専門家、社会医学系専門医、公衆衛生専門管理栄養士等)の充実を持って、公衆衛生人材の育成と公衆衛生研究の促進を図って参ります。。政策提言に関しては、学会独自あるいは関連学会・団体との合同で適宜発出していきます。
会員、代議員、理事、監事の皆様のご協力をいただきながら、理事長としての責務に取り組む所存です。
何卒ご助言、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
2025年11月吉日
日本公衆衛生学理事長
国立健康危機管理研究機構 国際医療協力局
グローバルヘルス政策研究センター
センター長 磯 博康